育自⑧ ‐通学生になる‐
カテゴリ:育自 投稿日時:2012年5月8日2:00 PM コメント:Leave a comment
さて、念願の通学生となった私には、なにもかもがうれしく苦になるものはなかった。強いてあげれば、一回り以上の年齢差であったろうか…。入学当初は気になったが、別に実年齢をぶら下げて歩いている訳でもないのだからと思い直し、普通に関わる内になんともなくなってきた。ある意味では他の学生以上に羽目を外すこともあり、やんわりとご注意をいただいたこともあった。
合宿でのこと。「おなかがすいたね」と、消灯後湯沸室に忍び込んだ。インスタントうどんに湯を入れトレーナーで隠し持ち、ベッドの下に滑り込んで「大成功—いただきまーす!」。
まさしく、ある意味で青春真っただ中だった。あの時の仲間は、今年31歳になった。そう、私が入学した年齢である。
「今の私と同じ年で入学してきたんですよね。あの時の新保さんの姿が今も私を励ましてくれるんですよ」。電話の向こうに、二人の子どもの母親となった同級生がたくましく立っていた。
たしかに、私はがんばっていた。20歳前とは比べるべくもないが、30代はまだまだ瞬発力もある。粘りはむしろ彼女たちよりもあったし、エネルギーに溢れていた。
コラム掲載年月日「山口新聞」1996.11.1~1996.12.27:文中の名称は「当時」