「しっぽのないシッポさん」のブログ

「源氏巻」‐その由来!と意外な史実?‐


カステラ様の薄い生地に餡を巻きこんだ、島根県は津和野を代表する銘菓「源氏巻」をお土産にいただきました。

その薄い長方形は片手に握り込めますので、若い人が手にして食べ歩きしてもよさそうなのですが…、見たことはありません。

友人に「チョコバーじゃあるまいし、そんなことやるのシッポさんくらいなものよ」と言われました

そうなんです、痛快に丸かじりできるのも餡があっさりしていて一本食べつくせるからなのですが、

友人は「上品な甘さで後をひく美味しさっていうのよ」と、上品でないシッポさんを叱ります。

でも、御年○○歳ではあっても左手に「源氏巻」、右手にペットボトルというスタイルで楽しんでもいいじゃない、たまには。

もちろん、いつもは一口大に切って銘々皿に盛りつけ黒文字を添え、お薄や煎茶、紅茶のお供として楽しんでいますよ。

さて、画像は源氏巻の製造過程です、ご覧下さい。

先ず生地を延ばします‐この2枚で8本分‐

 

 

 

津和野のメインストリート殿町通りにある老舗です

職人技に引き込まれ、焼きあがるまで見届けたくなります

 

 

 

生地に火が通ったら、餡を延ばします

 

 

生地にプツプツと小さな気泡が入ってきたら

左手横に準備してある餡を詰めた半筒から

餡を生地に落とし

指でかたちを整えます

 

                                            

向こう側から手前に餡を包むように折り込みます

 

 

 

餡が落ち着いてきたら

いよいよ餡を包み込みます

 

 

 

出来上がりました、1枚(本)を四等分して包装します

 

餡を包み込んだら

ひっくり返して

はい、できあがり!

次に、手前の生地にプツプツと小さな気泡が入ってきたら餡を生地に落とし…を繰り返して、一度に2枚を焼き上げます。

 

 

これまでにも慣れ親しんできた味ですが、今回改めて「源氏巻」について調べてみました。

先ず、「源氏巻」という名称について。


幕末※1に、津和野11代藩主によって銘名されました

御用菓子司がこのお菓子を藩主に献上したところその妻が上品な餡の色を高貴な紫に例え

「源氏物語」の「若紫」に出てくる和歌「手に摘みていつしかも見ん紫の根に通ひける野辺の若草」にちなんだところからとのこと。

ところで、「源氏巻」の原型は「小判形」だったとか。小判型というよりも、生地に小判を包み込んだものだったのです。

ここまで聞くとピーンときます。袖の下か賄賂か何かではなかったか…と。その通りです。

その詳細は、講談調で語るならば、「時は元禄…」と江戸時代中期にまで遡ってゆきます。

江戸幕府において勅使の接待役を仰せつかった津和野3代藩主・亀井能登守茲親公(かめい のとのかみ これちかこう)は、

その指南役である吉良上野介義央(きら こうずけのすけ よしひさ)に山陰の小藩ごときがという扱いを受け愚弄されるという辱めを受けました(1698)。

儀式や典礼を司る役職に就いていた吉良家は高家(こうけ)として家格も高く、

その奢り高ぶった振る舞いから津和野藩に限らず多くの藩から恨みを買っていました。

播磨赤穂(はりま あこう)藩主・浅野内匠頭長矩(あさの たくみのかみ ながのり)が、

殿中・松の廊下で吉良上野介に切りかかったところから切腹させられお家断絶となったことや、

四十七士による仇討※2が「忠臣蔵」として書かれたことは皆さんご存知の通りです。

では、なぜ津和野藩主は仇討をしなかったのでしょう。

茲親公は「この恨み晴らさで…吉良を切る!」と決めましたが、

「このままではお家の一大事!」と家老・多胡外記(たご げき)が機転を利かせ藩主としてここは忍ぶべきと進言し、

一方で上野介にご指南をよろしくと取り入ります。

外記が取ったこの行動のおかげで、藩主は役務を無事終えることができことなきを得たといわれています。

この時、家老の外記が上野介のご機嫌取りに取りに贈ったのが、小判を生地で包み込んだ菓子折りです。

 
「源氏巻」職人の技と誇りを胸に

これは歴史的事実ですといいたいところですが、

藩主と忠君家老の逸話については「仮名手本忠臣蔵」(1748)初演の後に初出ということもあり、

後世の創作であるともいわれているようです。

「忠臣蔵」は江戸時代中期の、「源氏巻」は幕末の話ですし、

また、史実はどうであったのかということもあり直接の関係はないでしょう。

しかし、津和野では生地に餡を用いたお菓子が伝統的につくられていたということは事実です。

最後に、津和野3代藩主・亀井能登守茲親公は徳川5代将軍綱吉に恭順を示し幕府務めも十分に熟しただけでなく、

領内でも蟠竜湖疎水(ばんりゅうこ そすい)※3を完成させるなどなかなかの名君だったようです、と述べて終わりとしましょう。

 

追記:次回は、兵庫県・赤穂市へ旅した時に収集した「忠臣蔵」について物語ることとします。


津和野と播州赤穂。この2つの藩の対処法と興亡と、吉良家の優位に立っての陰湿ないじめ体質が周囲に与えた影響については考えさせられます。

 

※1江戸時代1603~1867の260余年、幕末は1853年にペリーが来航して後をさす
※2元禄15(1703)年12月14日
※3島根県益田市高津(ごうつ)町万葉公園内
蟠竜湖は、竜が蟠(わだかま)っているように見えることからの名称。別名、ナスカの地上絵ならぬ万葉のロール・シャッハ※4図版と呼ばれているとかいないとか。興味がある人はゼンリンの地図でチェックのこと
※4スイスの精神科医ロールシャッハ(H.Rorschach,1884-1922)の考案した性格診断法。左右相似のインクのシミがどのように見えるかを答えさせ、深層心理を分析診断するインクブロット‐テスト

 

 

 

 

 

 


この記事へのコメント

  1. ピアのっこさん より:

    さずが、シッポさん!
    「源氏巻」について、大変勉強になりました。
    「源氏巻」は、食べ歩きしたことは、
    ありませんが、「菓子パン」なら、有ります。

    「源氏巻」のことを、別名、「わいろ巻」とも言うのだそうですね。

    「源氏巻」と言えば、「津和野」、
    「津和野」と言えば、ピアのっこさんは、
    何といっても、さだまさしの「案山子」を
    思い出します。
    あの、
    元気でいるか 街には慣れたか
    友達出来たか
    と、始まる歌で、大好きな曲です。

    「案山子」の原風景は、津和野だとのこと、
    さださん自身が「歌を作った時は、ことさら意識しなかったけれど、気が付くと津和野の歌になっていた。本当に好きなんだよね、あの街が」と言っています。

    「案山子」の中に、

    手紙が無理なら 電話でもいい
    「金頼む」の一言でもいい

    という、歌詞が出てきますが、
    本当に用事が有る時に、
    電話をかけてくる子どもが、ピアのっこさんにはいます。

    • シッポさん より:

      ピアのっこさん

      さすが!ピアのっこさん。
      別名「わいろ巻き」って…絶句!
      ってことは、「源氏巻」の由来は巷に知れ渡っているということですね。
      今回、調べて知ったシッポさんは脱帽です。

      また、さすが!ピアのっこさん。
      「案山子」の原風景が津和野とは…、うれしいです。
      うれしいには二通りあります。
      一つはそれが津和野であったこと、もう一つはそれをピアのっこさんから教えていただいたこと。
      シッポさんも「本当に好きなんだよね、あの街が」。
      今も、毎年のように行っています。
      特に冬の「雪の季節」が好きです。

      「電話をかけてくる子ども」は、以前命名させていただいた「ピアのっこのっ子さん」ですね。
      「本当に用事が有る時」に電話をかけて甘えられる親もった幸せについて、後○○年したら気づいてもらえますよ。
      ホントはもう気づいていらっしゃるんだけどね。

      ってことで、今後も音楽ネタは、ピアのっこさんにお任せ!いろいろ教えてくださいね。

  2. 紫陽花さん より:

    こんばんは。雨ですね~
    「源氏巻」・・・とても美味しそうですね。
    実は、このブログを拝見する直前に、本当に久しぶりに「源氏巻」を一切れいただき食べたのでした。ですから、大変な縁を感じております。
    しかも、製造方法から、名称の由来、そして津和野にまつわること・・・初めて知ることばかりで・・・幸せです。
    私も再度津和野に行ってみたくなりました~

    津和野、津和野・・・と思い、ふと思い出したことがあります。
    学生時代に友人と二人、萩・津和野旅行に行ったのです。その時、街中に駐車されている車のナンバーを見てビックリ!!   「なんて『島根ナンバー』が多いんだろう!!」 
    ・・・当たり前です。津和野は島根県。一体私はそれまで津和野を何県と思っていたのか?! 友人には大爆笑され・・・今でも良い思い出として記憶に残っております。
    それから、かれこれ20年???   

    笑ってやってください。

    • シッポさん より:

      紫陽花さん

      「源氏巻」のお引き合わせでしょうか?
      一切れVS痛快!丸かじり?の違いはあれど…、美味しさに変わりはなかったはず!

      「なんて『島根ナンバー』が多いんだろう!!」を、私は笑えません。
      中学生になるまで、津和野は山口県だと思ってましたから。
      そうじゃなくて島根県と知ったときには、本当に本当に悲しくて悲しくて…。
      「今でも良い思い出」ですけどね。
      思春期に知った衝撃の事実が、虎馬っちゃったのでしょうか?
      今では、立派な津和野フリークでして気軽にドライブ&温泉してます。

      ところで、ピアのっこさんのコメントをご覧になりましたでしょうか?
      なんと、「源氏巻」は別名「わいろ巻」だと教えてもらいました。
      ってことは、巷じゃあ知れた話ってことですね。
      驚きました、知らんかったのは自分だけ(じゃあないにしても…)。
      「友人には大爆笑され」な青春の思い出を、ありがとうございました。

       

  3. しゅんりんちゃん より:

    シッポさん、今回は「源氏巻」のお話しですね。
    片手に源氏巻、片手にペットボトル姿は
    思いもつかなかったですね。
    誰かがその姿でデモンストレーション?をしたら
    誰かがまねっこするのでは?…
    すると「源氏巻」が新しい感覚でまた広まる…。
    津和野観光協会に提案どうでしょう?
    その時のデモンストレーション役は、もちろん!私と
    シッポさんですよね(笑)

    歴史を語っていただいたのに、こんなおちゃらけ話しに
    してしまうのは、やっぱり私だけのようで…すみませーん。

    あの大きな赤い鳥居をくぐると、津和野稲荷大社ですね。
    お正月、秋の紅葉の季節とか年に一、二度は
    出かけていました。
    大社からたくさんの赤い鳥居をくぐり抜けて下に
    降りてくるとプーンと甘いにおいがしてきたの
    思い出しました。
    「源氏巻」の言われなど気にもせずパクパクでしたので
    吉良家のお話しにまで至ることにびっくりいたしました。
    次に食するときは、シッポさんに教えていただいたことを
    気にかけてみます。
    ひとあじもふた味も違うことでしょう。
    ありがとうございました。

    それからひとつ私のおすすめのお店を。
    大社から降りてきた所に、「銀水」という名のうどん屋
    さんがあります。
    ご存知かもしれませんね。
    関西風の薄味でうどん玉は、少し細めのつるっとした
    丸い麺です。家庭のうどんのような感じですし、お店も
    今風にきれいではありませんが、津和野に行けば寄ります。
    稲荷ずしもおいしいですね。津和野稲荷だからでしょうか。

    津和野へは最近行っていません。何だか行ってみたく
    なりました。今頃がいいでしょうね。
    ちょっと空き時間探してみようかな…。

    • シッポさん より:

      しゅんりんちゃん

      デモ・モデルにしゅんりんちゃんとシッポさん…!?
      周囲に採用されるかどうか、そこが問題ですね(笑)
      ここはあの松田龍作DNAを受け継いだ兄弟に登場してもらいたいなあ。
      あのお二人がイメージです。

      さて、今回調べて知った「源氏巻」についてのあれこれですが、
      ピアのっこさんのコメントを見て、ビックリ!
      別名「わいろ巻」って言うんですってね。
      ってことは、巷では知れた話ってことだったってことを知り、脱帽!

      さて、again!
      「銀水」って、階段の踊り場よろしく坂の途中にありますよね。
      売店もあって、お供え用の油揚げセットも売っていたような…。
      何度か入ったことがあります。
      ぜんざいで一息をついたらお腹がすいていたことに気づかされ、うどんを追加した思い出があります。

      津和野は、シッポさんにとっても「何だか行ってみたくな」るところです。

  4. 紫陽花さん より:

    こんばんは。
    ピアのっこさんのコメント・・・もちろん拝見いたしました。「わいろ巻」は初耳でした。そんな呼び名が付くほどのものだったですね~。
    「片手に源氏巻」と見て、私はふと「恵方巻」を思い出しました。1度に1本食べるなんて~と思ってはみたものの、先日の1切れから、なんとなく食べられるかも・・・と思いました。「恵方巻」が1本食べられるのですから、「源氏巻」の1本くらい・・・というところでしょうか。

    「案山子」の原風景は津和野・・・
    これまた初耳でして・・・知らないことだらけ。
    1つの話題から、色々な話題へ・・・いつも勉強になります。
    ありがとうございます!!

    • シッポさん より:

      紫陽花さん

      シッポさんが疑問に思ったことや興味・関心のあることを調べて、アップ。
      それをさらに深く知ることになるきっかけを、コメントにいただいています。
      こちらこそ、ありがとうございます。
      それを「勉強になります」と言われては、戸惑うばかり…。

      実は、「恵方巻」は食べたことがありません。
      私の人生では途中から出現したものですから、まだ、追いついていないだけなのでしょう。
      いわしの頭を柊の枝に刺して…については、子どもの頃の思い出ですね。
      親になってからは、子どもには「ホントはこんなことするんだけどね」と説明!(言い訳?)して、終わり。
      気がつけば、豆も殻付きピーナッツを撒く時代…。
      子どもたちは自分の家庭でどんな風に行事ってるのかなあ。

      私も、来春は「恵方巻」を痛快!丸かじり!をするかしらん。

  5. しゅんりんちゃん より:

    シッポさん、デモ・モデルは、龍平・翔太兄弟
    彼らなんですね。
    彼らなら様になりますね。

    「わいろ巻」なかなかのネーミング。
    もしや…ぴったりなのかも知れませんね。
    巷では知れわたっていたということですが、
    知らなかった私です。
    何も考えずにおいしいだけで食べていましたから、
    知る由もないはずです。

    食するものに結構「…巻」と付いているものが
    ありますね。
    何らかの理由があるのでしょう。

    いろんなことに気づかされるシッポさんの情報に
    感謝しています。ありがとうございます。

    • シッポさん より:

      しゅんりんちゃん

      紫陽花さんの返信にも書いたことですが…
      「シッポさんが疑問に思ったことや興味・関心のあることを調べて、アップ。
      それをさらに深く知ることになるきっかけを、コメントにいただいています。
      こちらこそ、ありがとうございます。
      それを『勉強になります』と言われては、戸惑うばかり…。」です。

      あまりにも当然すぎて「何も考えずに」きたことに、ふと気づかされることがあります。
      きっかけは意外なところから突然やってきますが、以前はそれをスルーしていたような気がします。
      今はちょっと立ち止まって、調べたり聞いたりすることに多少手間をかけるようになりました。
      そんなことを今ごろ知ってどうするの?何の役に立つの?とも言えますが、「手間をかける」ことに意味があると思っています。

      これまでなんと効率よく無駄のない時間の使い方をしてきたのだろう…。
      決して反省をしている訳でも後悔している訳でもありませんが、年を重ねてゆくにはちょっと不向きな使い方かなと思うようになりました。

      これからは、立ち止まる…、深める…、そして何よりも時間を使いこなすのではなく経過を見守るくらいの気持ちでいたいと思います。

  6. ピアのっこさん より:

    シッポさん
    紫陽花さん
    しゅんりんちゃん
    いつも、ありがとうございます。

    シッポさんのブログを読んでいると、私の頭脳が
    ガッタンゴットンと動き出し、
    アンテナが、ピーーーーンと
    張って、伸びます。

    これからもどうぞよろしくお願いいたします。

    • シッポさん より:

      ピアのっこさん

      紫陽花さん・しゅんりんちゃんの返信にも書いたことですが…
      「シッポさんが疑問に思ったことや興味・関心のあることを調べて、アップ。
      それをさらに深く知ることになるきっかけを、コメントにいただいています。
      こちらこそ、ありがとうございます。
      それを『勉強になります』と言われては、戸惑うばかり…。」です。

      でも、「アンテナが、ピーーーーンと」なるのであれば、ピアのっこさんのツボを押しているようで…うれしいです。

      生き方・行き方は人さまざま…。自分のスタイルを見つけられたら一番うれしいのは自分です。
      自分を喜ばせることって、とても大事ですよね。

  7. しゅんりんちゃん より:

    シッポさん
    ピアのっこさん
    紫陽花さん
    私も、「ありがとうございます」です。

    シッポさんのブログを読んで、
    この年になっても…知らないことの多いことに 
    気づいています。

    でも、教えていただくことも多く「ふーん、そうなんだ」
    と関心・感心しきりです。

    そして、「…しよう」と前を向くことができるようです。
    生き方・行き方は、後ろには戻れませんものね。
    自分を喜ばせること…ニタニタです。

    • シッポさん より:

      しゅんりんちゃん

      「『…しよう』と前を向くことができるようです。」って、自分のことのようにうれしいですね。
      人は人によって、エネ・チャージされるようです。

      これからも、ブログのご縁でお互いが「自分を喜ばせること」ができればいいなと思います。

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