「しっぽのないシッポさん」のブログ

おらが紅茶


 

おらが紅茶

その土地でつくられるお酒のことを、地酒といいますね。

それにならって地ビールもありますが、地元で醸造されたその地特有のものであることは、みなさんもご存知の通りです。

は、ここで質問です。

Q.「地元で製造されその地ならではの味わいをもつ紅茶はなんといいますか?」

A.「地紅茶※1です!」というのは、×。

「それじゃ、敬遠されちゃうよ、時効・茶みたいで…」という声があったかどうかは知りませんが、意外!?にも「おらが紅茶」です。

さて、今回は、世界的に高く評価され知る人ぞ知る「おらが紅茶」の話です。

時は、2007・2009・2010に続いての2011年。

場所は、イギリス。

グレート・テイスト・アワード(The Great Taste Awards)で、鹿児島県は枕崎産の「べにふうき」(品種名)が最高金賞を受賞しました( Gold 2011)。

商品名はご覧の「夢ふうき」です。

「べにふうき」は、日本の「紅茶の父」・「近代茶業の父」と呼ばれている多田元吉が品種改良したものです。

静岡市駿河区丸子には「日本の紅茶発祥の地 丸子(まりこ)紅茶」と書かれた看板が掲げられています。

旧幕臣の多田元吉は、丸子で茶畑を開拓し栽培に励んでいました。

その実績が明治政府に評価され、1876(明治9年)にインドに派遣されました。

彼(当時40歳)は、スリランカ(セイロン)やインドのダージリン、アッサム地方などに足を踏み入れた最初の日本人です。

帰国後、インドチャ(アッサム種)を丸子で栽培し、日本で初めて紅茶製造を始めました(1877)。

その後も各地で指導が続けられ、やがて、生糸とともに主要輸出品目に成長し日本の近代化の一翼を担いました。

しかし、紅茶生産は昭和初期をピークとして、第二次大戦後、日本経済の高度成長にともない価格競争力を失ってゆきました。

産業化推進は中止され紅茶の輸入自由化(1971)も手伝って、地場消費用に一部は生き残った(生産量1~2トン程度)ものの1980年代に入ってからほとんど生産されなくなりました。

一方で、私たちは海外から紅茶が安価に入りはじめたことやダイアナとチャールズ皇太子の結婚(1981)によるイギリスブームから、紅茶を生活の中に取りいれはじめました。

このブームで紅茶の味に親しんだ人たちのなかから、「お茶の美味しい国ならではの紅茶を」という声があがり始めたのです。

10年余り前までは30人にも満たなかった生産者は今では200人を超え、生産量も93トン(日本茶業中央会  2010)となりました。

日本の紅茶は、その育つ環境からやさしい味わいを持っています。

緑茶に砂糖やミルクを足さない習慣を持つ日本人の嗜好に合い、その繊細さがストレートで楽しまれてもいます。

また、日本の水(軟水)や食べ物とも相性がよく、和菓子や普段の食事にも合わせやすいのです。

先日、友人宅で「おらが紅茶」をいただきました。

島根県出雲市斐川町の茶葉と地元産出西(しゅっさい)生姜入りのジンジャーティー※2です。

私がこれまで楽しんできたスリランカ産(Mackwoods社製)のそれとは異なり、生姜味も柔らかいものでした。

友人宅の井戸水の美味しさも手伝って、これぞ「おらが紅茶」。

日本産の紅茶は「和紅茶」として、今後ますます世界に進出してゆくことでしょう。

※1「全国地紅茶サミット」というように商業ベースでは「地紅茶」ということばは使われている。「おらが紅茶」は生産者サイドのことばだが、生産者の誇りを尊重して後者を採用。

※2100%地元産の茶葉と生姜を使ったもの。1985年から製造。

 

 


この記事へのコメント

  1. ピアのっこさん より:

    こんばんは。
    シッポさんの「紅茶」は
    本当に奥が深いのですね。
    そのお茶や、子どもたちの事について
    ますます、学ばれるために
    来週からベトナム・カンボジアに行かれるとのこと。
    どうぞ、気をつけて、行ってくださいませ。
    「カンボジアの子どもたちが…」とのニュースも聞きました。まもなく、日付が変わります。

  2. しゅんりんちゃん より:

    こんばんわ。深夜です。
    「おらが紅茶」は「俺家」の「自分ち」の
    自慢の紅茶なんでしょうね。
    それぞれの家の、お国の味があるって
    ことなんでしょうが、まだ紅茶初心者の私には、
    区別が難しいところですが、
    「おいしい」かどうかだけわかるかな…。
    それも自己流の入れ方で…。
    あー「おらが春」なんて本ありましたね。
    (一茶でした?)

    それにしても紅茶の缶ってきれいですね。
    この「夢ふうき」もですが、
    形も絵柄もステキなものが多いですね。
    こんなことも紅茶のいいイメージだと思います。
    つい捨てないでとってしまいますね。

    • ピアのっこさん より:

      しゅんりんちゃん、はじめまして
      昨日の わらべうたの楽譜?音符?を見ていただけましたか?
      真夜中のメールでした!

      • シッポさん より:

        ピアのっこさん、しゅんりんちゃん、おはようございます。お二人とも深夜のコメント…ありがとうございます。
        正確に書けば、「全国地紅茶サミット」というように商業ベースでは「地紅茶」ということばは使われています。「おらが紅茶」は生産者サイドのことばですが、シッポさんとしては生産者の誇りを尊重して後者を採用しました。「時効・茶」はシッポさんの好きなことば遊び!です。
        「奥が深い」ものって、私たちは、その方向性は異なっていてもお互いに持っています。自分が知っている世界を改めて知る、自分が知らない世界を初めて知るということは、これからもあることです。その驚きを謙虚に大切にしてゆきたいな、と思っています。
        出かける前ということと、早くお返ししたいという思いから、お二人まとめての返信となりました…(言い訳って、いいわけないよね)。

  3. 紫陽花さん より:

    おはようございます。
    もしかしてベトナム、カンボジアにご出発ですか?
    くれぐれもお気をつけて行かれて下さい。
    また、お土産話を楽しみにお待ちしてます!

    • シッポさん より:

      インフォメーションに「7月第2週は、お休みさせていただきます。」とアップしたことから、ベトナム・カンボジア行についてコメントやメールなどをいただいています。ありがとうございます。9日(月)~13日(金)の予定です。ひょんなことから、ホントウにひょんなことから、行くことになりました。チャンスは活かしてこそ、ですので思い切って行くことにしました。また、制約はあれど、自分でできることは可能な限り自分でアレンジして、「知りたい欲求」を満たしてきたいと思っています。
      ブログもお休みさせていただくことになりますので、出発までにもう1編アップできたらと思っています。気の利いたブロガーならば現地で入力&アップとなることでしょうが、す、す、すみません、スキル不足でできません。
      どちらかというと、カメラよりも自分の目で見たり聞いたりしたいタイプ‐要するに、オールド!-なのですが、2008年イギリス・バース行から画像の重要性にも目覚め、オート機能に頼りっぱなしですがシャッターを切るようになりました。カメラが自分の目になっているプロがうらやましい!シッポさんです。
      と、いうことで、今朝の「出かける前」は、防府行でした。

  4. しゅんりんちゃん より:

    ピアのっこさん、こちらこそはじめまして。
    わたしの
    「メロディーわかりませ~ん」に、
    早速の「ドレミ」見ました。
    ありがとうございます。
    十分よーくわかります!
    たぶん「ドレミ」の3音しかないと思うのですが、
    かなり「絶対音感」度が低いので、
    ウオーミングアップをしています。
    ド・レ・ミ・ファ…~♪
    (笑わないでくださいね)
    最後の「ウン」とってもいいリズムです!
    練習?しておきます、ね。

  5. しゅんりんちゃん より:

    どうもシッポさんは、ベトナム・カンボジアに
    お出かけのようですね。
    情報収集能力が、少々足りていませんので
    何だか話しが、ピンときていなかったようです。
    たぶんシッポさんは、そんな時差ボケ気味の私を
    よくご存知かと…。

    この時期のベトナム・カンボジアって
    どうなんでしょうか?
    今頃の日本と同じようにムシムシ…なんでしょうか・
    「ひょんなこと」からのご出立のようですが、
    どうぞ、気を付けていってらっしゃいませ。
    「道中話し」を待っています。

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