「しっぽのないシッポさん」のブログ

林檎‐季節の移ろい2/2‐


「少しだけど、お裾分けね…」と林檎※1をいただきました。

林檎の品種とその収穫時期

山口県で林檎の産地といえば徳佐※2ですが、8月中旬には早くも「つがる」が収穫されています。

私がいただいた品種は、その後に続く「あかぎ」と「秋映(あきばえ)」とのことでした。

薄紅の秋の実

 

 

林檎の旬は10月ですが、下旬になると「ぐんま名月」や「ふじ」が収穫されるということですから、まだまだ楽しめそうですね。

 

 

 

 

 

いただいた林檎はもぎたてということもあり、甘い香りが両手にあふれその芳しさは、
島崎藤村の「初恋」(処女詩集「若菜集」)1897 /明治30年)の数行を思い出させました。

  まだあげ初めし前髪の 林檎のもとに見えしとき

  前にさしたる花櫛の   花ある君と思ひけり

  やさしく白き手をのべて 林檎をわれにあたえしは

  薄紅の秋の実に      人こい初めしはじめなり

             略

藤村25歳のときの作品です。

大人の女性へと成長してゆく少女からもらった林檎を、少年が両手でそっと握りしめ自分の胸のうちにある思いに気づくというものです。彼の小説「夜明け前」や「破戒」も含め電子書籍化されるなど、「初恋」は今なお多くの若者に愛読されているようで古典の力強さを感じます。

 

ステイ先の裏庭に落ちていた林檎!まだ青い実を拾ってガブリ!! 野趣あふれる味わい!!!

さて、私は2008年6月末から7月中旬にかけてのわずか3週間ですが、イギリス・バースで一般家庭にステイ※3したことがあります。

ステイ先に限らず家々の庭先、公園などでちょっと小ぶりな実※4をつけている林檎の木の多いことに気づかされました。イギリス・バースでは、初夏から夏の終わりにかけてが林檎の季節でした。その大きさは小腹満たしにもってこいで、道を歩きながらかじっている制服姿の男の子や女の子を何人も見かけました。

ステイ先で用意してもらったランチにも“Bite into or nibble at an apple.(りんごはガブリなりチビチビなり好きにかじってね)”のことばとともに、必ずといっていいほど裏庭で採れた林檎が添えられました。
私も停留所でバスを待つ間、本を読みながらかじったことを思い出しました。

 

林檎の香りが季節の移ろいのみならず、少年の成長の節目においても案内役をはたしていることに新鮮な感動を覚えました。

 

※1表記には、「林檎」・「りんご」・「リンゴ」があるが、藤村の詩文に敬意を払って「林檎」とした。

※2昭和21(1946)年に栽培がはじまった。昭和41(1966)年に「とくさりんご組合」がつくられ、現在は18組合員により21ヶ所で栽培され、観光用に開放されたりもしている。

※3詳しくは、コラム欄カテゴリ:育児/TEA「イギリス・バースの白い風に吹かれて」全45回を、ご覧ください。

※4品種は、Cox Orange Pippin(コックス・オレンジ・ピピン)/通称は「Pippin:ピピン」、店頭では商品名「Cox:コックス」と掲示直径5センチ程度の大きさ。紅く熟れてからが美味しい。庭に落ちている青い実はそのまま食べることもできるが、調理用としても利用。


この記事へのコメント

  1. しゅんりんちゃん より:

    台風一過でしょうか…涼しくなりましたね。

    「秋」を肌で感じます。

    そして、今日は、「林檎」が見えました。

    香りと食感が満々です。食べたぁ~い、ですね。

    シッポさん、「林檎」「りんご」「リンゴ」ですが、

    「林檎」なのは何かあるのでしょうか?

    愚問かも知れませんが、気になってしまいました。

    • シッポさん より:

      しゅんりんちゃん
      愚問だなんてとんでもない!シッポさん泣かせ!?の質問をありがとうございます。
      「林檎」はバラ科の植物で、原産地はヨーロッパ東南部およびアジア西部です。
      「林檎」は中国から日本に入ってきました。
      「林檎」は中国語です。
      「pingguo」と発音され、
      「りんご」は日本語音を表記したものと
      「リンゴ」は中国語音を表記したものと位置付けられています。
      さて、「林檎」の「檎」の木編を取り去ると、「禽」になりますね。
      「家禽:家で飼われる鳥の総称」の「禽」と同じです。
      「禽」は「鳥」を意味し、甘い実のなる木に鳥が集まったことから木編がつき「檎」となりました。
      「林檎」の「林」は木がたくさんあること、
      「林檎」の「檎」は鳥がたくさん集まることを意味します。
      家の周りに鳥が集まる木があり、ついばんでいる実を手にしてみたら甘かった…。
      それが「林檎」ということになります。
      「林檎」「りんご」「リンゴ」の違いが少しですが、見えてきました。
      以上、質問いただいたことに対する答えになりますでしょうか。
      といっても、語源辞典にお世話になり自分なりにイメージを拡げてのものですので、
      お叱りをいただくレベルのものだと思います。引き続き宿題にさせてください。

    • シッポさん より:

      しゅんりんちゃん
      早速ですが、「林檎」「りんご」「リンゴ」について、訂正と補足です。
      「林檎」は「リンキン」と発音され、かなり小さめの実がなります。
      それよりもわずかに大きい実をつけるものが、「平果(pingguo:ピンガ)」と発音されます。
      日本へは平安中期(900年頃)に中国から「林檎(リンキン)」が渡来し、「リンキ」と呼ばれ「和りんご」・「地りんご」として定着してゆきました。
      しかし、今日私たちが味わっているりんご(西洋りんご)は、明治時代に北海道(2年)や青森(8年)で栽培が始まったものです。

      「りんご」は日本語音を表記したものと
      「リンゴ」は中国語音を表記したものと位置付けられています。―この2行については、正しいと言い切れませんので削除します。

      以上、引き続き宿題にさせてくださいね。

  2. ピアのっこさん より:

    りんごの季節なのですね。
    りんご といえば、何と言っても、
    「リンゴの唄」

    「あかいリンゴにくちびるよせて
     だまってみている あおいそら…」
    あの終戦後、並木路子さんが歌って大ヒットした、私の
    大好きな歌。

    それから
    「わたしは、まっかなりんごです
    お国は寒い 北の国・・・」
    で 始まる
    「りんごのひとりごと」も歌っていると
    涙が出てきます。

    秋は、素敵な曲ばかりです。

    また、曲紹介をさせてくださいね。

    • シッポさん より:

      ピアのっこさん
      いつも素敵な曲の紹介をしてくださって、ありがとうございます。
      私もピアのっこさんも「リンゴの唄」は、
      歌い継がれてきたものにふれることで知っている世代ですね。
      「リンゴの唄」も「りんごのひとりごと」も、
      これからも多くの人が口ずさんでゆくことでしょう。

      これからも曲紹介をよろしくお願いします。

  3. 紫陽花さん より:

    こんばんは。
    今日は本当に涼しい風が吹きました。室内にいると、全く汗をかかず…爽やかな1日でした。
    そんな1日の帰りが終電となってしまいました。

    リンゴ…昨年冬から今年の春にかけて、一番食べた果物です。また、そんな季節が訪れようとしています。
    リンゴと聞いて…シッポさんの藤村の詩の連想、他の読者の方の豊かな発想…素晴らしいですね。
    では、私は~??? と、考えて思考停止。
    そう言えば、最近、ゆっくり物事を考える心のゆとりを失っていることに気がつきました。でも、本当にそんなにゆとりがないのでしょうか。もしかしたら、自分から失う方向に進めているのかもしれません。段取りよく仕事ができていない自分を振り返り、少しでも改善できるよう、問題点の洗いだしからしないといけないのかな。
    …と、蘊蓄を書いていて、なぜか分かりませんが、ふと思い出したのは「ダヴィンチ・コード」でした。

    今年も、美味しいリンゴをたくさんいただきたいと思います。リンゴ狩りも良いですね~♪

    • シッポさん より:

      紫陽花さん
      こんにちは。「終電」で帰宅とのこと、お疲れさまでした。
      もちろん、今朝も出勤ですね…。お疲れさまです。
      ゆとりには、時間だけではなくゆとりと感じられる気持ちも大切ですね。
      私も大切にしたいと思います。
      藤村の「初恋」は、元・文学少女ならではの連想でしょうか。いえいえ、古典のもつ力のおかげでしょう。
      さて、「ダヴィンチ・コード」ですね…。
      映画では、事件解決の糸口になった「知識の実」?と、考えて私も思考停止です。
      リンゴはむしろこれからが本番!楽しみです。

  4. しゅんりんちゃん より:

    「林檎」のお話しから「宿題」になってしまったこと、

    とても恐縮しております。

    しかしながら、愚問に想像もしていなかったお答えを

    いただき、「ふーーん」と関心をいだきました。

    「りんご」は世界中にありながら、語源までのことは

    思いつかず、「りんご」の種類だけでした。

    シッポさんの引き出しの多さにあらためて

    感服するばかりです。

    ありがとうございました。

    • シッポさん より:

      しゅんりんちゃん
      引き続きコメントをありがとうございます。
      さて、「『りんご』の種類」についての疑問だったのですね。
      それを、「語源」についての疑問だと思ってしまった、シッポさんでしたねえ…。
      でも、関心をもっていただきありがとうございます。
      それにしても、それを真面目に宿題にしたシッポさんって感心な子!?ですねえ(*^。^*)
      引き出しは多くないのでつくっちゃいました!?
      で、宿題にしたのです…。

      恐縮は、なし!ですよ。
      ありがとうございました。

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