「しっぽのないシッポさん」のブログ

紅茶柚子‐義父の遺したもの‐


直径3センチもない可愛らしい姿…

今年も我が家の柚子が、たくさん生りました。

少し小ぶりの実が生る「花柚子」です。

この柚子の木は、

義父がずいぶん前に、

勝手口近くの小さな空き地に植えてくれたものです。

しばらくはただただ木が大きくなるばかりで、

花も咲きませんでした。  

 

義父は「桃栗三年柿八年柚子の大馬鹿十八年というからどうなることかのお…」と、

手入れをしていました。

やがて、さらに年を重ねた義父はあまり外に出ることもなくなり

そのころから、柚子の木の世話は私の役割となりました。

木の世話といっても肥料をやるぐらいのものですが、

紅茶をはじめおチャの木からできた飲み物が大好きな私は、

チャ殻を柚子の根元にやりはじめました。

穴を深く掘ってそのまま埋めるだけですので堆肥とはいえませんが、

地面の下で少しずつ変化しているのでしょう…。

気がつくと、根元の土はふかふかになっています。

また、ときには、水やりと称して紅茶などの飲み残しを根元にかけてもいます。

そんなこともあっていつの間にか、

我が家では「紅茶柚子」と呼ぶようになりました。

 

義父は一昨年(2011)の初夏に90歳で亡くなりましたが、

その年は柚子の実が初めて生った年でもありました。

義父の世代は、その青春は戦争にからめ捕られ、

戦後も苦労を強いられたことは否定できません。

義父は多くを語ることはありませんでしたが、

その生きてきた姿は、柚子の木の成長の辛抱強さと重なり、

残された無言の教えのようにも感じられます。

 

柚子の花

 

さわやかな薫風の吹くころ、

芳しい花を咲かせます。

 

 

 

 

 

ナガサキアゲハの幼虫が、やわらかい葉を食んでいます…

 

その香しさとそのやわらかい葉を求め、

青虫がいたずらをします(画像中央)。

 

 

 

 

 

 

 

初夏には花を、

晩夏にかけてはアゲハチョウの巣立ちを楽しませてくれ、

秋には実が生ります。

半分に切りサンマや鍋物に添えて…、食卓は柚子の香りでいっぱい!

その他にも、輪切りにしてハチミツ漬けにしたり…

干した種をお酒につけて化粧水に変身させたり…

冬至(2012.12.22)には、

枝に残っている実はすべて摘み取り湯船に入れ「柚子風呂」を楽しんで終わり!

柚子の木にはごほうびの追肥をやり、

春までしばらく休んでもらうということになります。

 

さて、柚子の木の育ちを象徴するかのような「辛抱」ということばは、

今日では死語に近いものとなりました。

臨床で多くのケースに関わって感じることのひとつに、

不自然に急く・急かすことのこわさ(怖さ・恐さ・強さ)があります。

別のことばに置き換えるならば、

「待つ」ことがいかに大切かということでもあるのですが…。

もう一度、否、何度でも振り返ってみたい、

「育ち」に関わる者の心がまえです。

 

 


この記事へのコメント

  1. ピアのっこさん より:

    シッポさん
    素敵なお話、ありがとうございます。
    我が家では、昨日(真夜中なので、昨日と書いています)夕食は、「鍋」!でした。
    柚子をギュッと絞って、かけて
    いただきました。
    シッポさんは、柚子で化粧水を作られるのですね。
    不精な私は、作ったことはありませんが、母は
    色々、作っていました。
    今は、どくだみ化粧水を、母から
    分けてもらっています。

    ところで、「待つ」ということ
    本当に大切ですね。
    日々の生活の中で、家族に対して、ピアのっこさんが
    大事にしていきたいことです。

    • シッポさん より:

      ピアのっこさん

      鍋ですか…いいですねえ。
      (カゲの声:「何鍋だったんだろう…って、知ってどうする!自虐!」)
      ゆず・ゆげ・ゆったり…、鍋には「ゆ」が合いますね。

      ところで、シッポさん印の化粧水は「ついで派」です。
      わざわざ作るんじゃあなくて、
      ①いい柚子の種が出た、つまり、多人数で鍋を囲むと柚子の消費量がアップし種もたくさん出ます!
      ②いいお酒が残っている、つまり、我が家ではビール以外が消費されることはほとんどないので、到来大吟醸は料理酒になります!
      ③つくろうかなあ、つまり、その気になったときに。ならないときもあります!
      じゃあ、あれこれ残りもんの始末もかねて、「ついで」につくる「派」!

      どくだみ化粧水も面白そうですね、どくだみ草が原料って分かりますがどうやって入れるのかな?干したものかしらん?

      最後に、「待つ」って本当に難しいです。それだけに実践することに意味があるんですね、きっと。
      なかなか待てないシッポさんだからこそ、書けたブログかも…。

  2. しゅんりんちゃん より:

    シッポさん、おはようございます。
    今朝は一段と冷え込んでます。

    毎朝、窓ガラスの結露対応に手を伸ばしながら
    体操と!思いしていますが、結露の量が増えてきました。
    今週はきびしい寒さだとだとか…あ~なつがなつかしい~。

    さて、シッポさんちの「紅茶柚子」かわいいですね。
    お義父さまの思い出がいっぱい詰まっている一番の
    思い出の品のような…。

    それにしても、「桃栗…柚子の大馬鹿十八年」と
    続くとは知りませんでした。
    本当に待たせて、待たせて可愛い柚子を
    お披露目してくれるんですね。
    人間の子どもだったら、高校3年生~ですよね。

    今は、シッポさんちの大切な季節の宝物でしょう。
    いろいろと活躍!をさせていらっしゃる心遣いが
    伝わってきます。

    待ちの十八年分以上の楽しみをくれるシッポさんちの
    「紅茶柚子」。
    冬至が待ち遠しいですね。
    「待つ」って、楽しいこともうれしいこともいっぱい!
                          ですね。  

    • シッポさん より:

      しゅんりんちゃん

      こんばんは。
      結露ー我が家も「窓ガラス体操」にこと欠きません。
      放置しておくと黒カビちゃいますし…、イヤイヤ!やってます。
      それにしても、本当に本当に寒くなりましたね。
      ということで、寒いから鍋にしよう…とばかりに、今年も紅茶柚子の活躍場面は多いようです。

      さて、「待ちの十八年分以上の楽しみ」って、その通りですね。
      昨年は猛暑もあってかあまり生らなかったのですが、今年はたくさん生りましたのでその分お裾分けの範囲も量も増えました。
      お風呂用に買うなんてことはもったいないからと、これまで柚子風呂は某メーカーの○ブで済ませていた息子も大喜び。
      子どもを育てるつもりで種から育ててみようか…などと言いだしました。
      また、昨年、「本柚子だけど小ぶりのものが380円だったのよ、こちらでは高いからお正月用に1つ買うか買わないか…」とブツブツ言っていた娘も、今年はいろいろ使えそうとこれまた大喜び。
      きっと、義父も喜んでいることでしょう。

      「『待つ』って、楽しいこともうれしいこともいっぱい!ですね。」と言われて、ふっと肩の力が抜けました。
      なんだかむつかしく考えすぎてたような…。
      ありがとうございます。

  3. しゅんりんちゃん より:

    シッポさん、こんばんは。

    うちは、柚子湯ならぬ「…ブ」の
    柚子風味とでも言いましょうか、
    結構満足しています。
    できれば本物で!と思いますが、ちょっと贅沢のような。

    何か「柚子」の木植えてみたくなりました。
    今からの十八年…私の歳を考えると
    怖いものがありますが、
    芽が出て花が咲いて…と思うとワクワクします。

    「待つ」ってことをこんな風に思ってしまう私は
    やっぱり能天気ですね。

    そして、今、私の家には庭がないことが
    現実とならない話しですね。

    でも、ちょっぴり「いつか…」なんて思ってます。
    やっぱり超能天気です。

    シッポさんのお家にも柚子にまつわるご家族との
    コミュニケーションがいっぱいおありのようですね。
    本当にお義父さまも喜んでいらっしゃるでしょうね。
    ニコニコ )^o^(と。

    • シッポさん より:

      しゅんりんちゃん

      こんにちは!

      「 - 植えてみたくなりました。」とありましたが、
      義父が柚子を植えたのは70歳前後のことであったと、今さらのように確認しています。
      しゅんりんちゃんの「ワクワクします。」というコメントに、義父の気持ちもそうであったかと…。

      「『待つ』ってことをこんな風に思ってしまう私はやっぱり能天気ですね。」ともありましたが、
      このスローさこそが「待つ」ことの本質でしょうね。

      お嬢ちゃまたちがしゅんりんちゃんとの関わりのなかで感じているやさしさは、このスローさのもつ「待ち」そのものでしょう。
      太極拳の動きはキツイのだとか…。
      そういう意味合いでは、しゅんりんちゃんもキツイ思いをかさねていらっしゃいますね、きっと。
      やさしさって、意外と容易(やさし)くないからこそ、私も含め多くの人にとって課題となるのでしょう。

      今日も寒さが一段と厳しいようです、そんななか熱く熱く叫んでいるのが選挙カー…。
      その分周囲が寒くなっているのかな?

  4. keiko より:

    久しぶりにコメントをします。
    今回は、あっという間に文章を読み終え、読んだ後、心が温かくなりました。
    柚子の木を大事に育てていることが、家族にも自然の生きもの達にもプレゼントをしているんだなと嬉しくなりました。

    • シッポさん より:

      Keikoさん
      お久し振りです。
      また、コメントを寄せていただき、うれしいです。
      さて、そこに柚子の木が一本あるだけで、本当に豊かな経験をさせてもらっているんだなあと改めて感じています。
      プレゼントを、している<してもらっているんです、実感として。
      これからも大切に育ててゆきたいと思っています。

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