「しっぽのないシッポさん」のブログ

Serendipity:セレンディピティ


今年のノーベル医学・化学賞の受賞者が発表されました。

あらゆる細胞に分化する能力をもつiPS細胞(人工多能性幹細胞)を開発した、

京都大学の山中伸弥教授に授与されたことは喜ばしいことでした。

山中教授が受賞会見で「日の丸の支援がなければ受賞できなかった。

日本の国が受賞した賞だ」(2012.10.9)と語ったことは、私たちが「国」を意識するきっかけになりました。

 

この花を生けたのは…

 

山中教授に限らず長年に渡り真摯に成果を積み上げてきた研究者のことばは、

多くの人々が耳を傾けたくなる説得力があります。

 

この花を生けたのは…

 

 

 さて、今から12年前。2000年にノーベル化学賞を受賞した筑波大学名誉教授の白川英樹氏の会見では、

多くの人が耳に新しいと感じられることばが使われていました

 

 

 

 

「Serendipity(セレンディピティ)」がそれです。

イギリスの政治家であり作家でもあったホレス・ウォルポール(Horace Walpole,1754)が、

ペルシャ語からイタリア語に訳されていた寓話を英語に翻訳し出版した「The Three Princes of Serendip(セレンディップの三人の王子)」※1の中で用いた造語です。

「Serendip(セレンディップ)※2」は、古代ペルシャ語で「Sri Lanka(スリランカ)」を意味します。

 

武者修行の旅に出された三人の王子が行った先のペルシャで、

逃げたラクダを探す男性を手助けする中で失敗を重ねますが、多くを学び成功に導きます。

ウォルポールは、その成功に導く能力のことを「Serendipity(セレンディピティ)」と名づけたのです。

白川教授はこのことばを用いて、自分の研究の成果は失敗を失敗に終わらせなかった取り組み姿勢にあったのではないかと説明しました。

誤って通常の1000倍もの触媒を加えてしまったことが「プラスチックは電気を通さない」という常識を打ち破ることとなり、

それを高分子科学の分野での成功に結びつけたからです。

山中教授も、外科医としての失意から基礎医学の研究者になることを決心したといいます。

Serendipの王子!? この私です!

 

 

 

 

 

 

 

 

山中・白川両教授の話から少しズレます。

セイロンティーで有名になったスリランカにも、「セレンディピティ」で説明できる史実があります。


セイロン島と呼ばれていた植民地時代のスリランカでは、もともとコーヒー栽培が盛んに行われていました。

ところが、1870年代の終り頃、害虫の大発生によりコーヒーの樹が壊滅的被害を受けました。

その起死回生策から始まった紅茶の栽培とその後の努力により、今日の成功につながっているのです。

「Serendipity(セレンディピティ)」。

行き詰ったとき、私たちがもう一度自らに問いかけたいことばです。

 

※1「セレンディップの三人の王子」 2004


※2 Serendib also splled Serendip,Sarandib.と、そのスペリングはいくつかある。ウォルポールはSerendipを用いた。
国名は、Serendip →  Ceylon(1948~)  →  Sri Lanka(1978~)と変化した。

Serendipity = Serendip +ity(抽象名詞をつくる接尾語)


この記事へのコメント

  1. 紫陽花さん より:

    こんばんは。
    写真のお花…面白いですね。活け方で花がこのように変わるとは。とても可愛らしい!!

    さて、「セレンディピティ」ですね。失敗を失敗で終わらさない、成功に導く力… 実に大切なものだと思います。「失敗学」。失敗から何を学ぶか? 最近、よく耳にします。自分にできているか…というと、よく分からないのですが。転んでもただでは起きない…というくらい厚かましく生きていきたいものですね。

    温かいお茶がとても美味しい季節を迎えました。
    今年も後2ヶ月ちょっと。今こそ振り返り、年末に向けて立て直しをはからねば…!

    • シッポさん より:

      紫陽花さん
      「転んでもただでは起きない…」と、逞しいことば!
      紫陽花は土壌のPHに合わせてその出色が異なるとか。まさしく、逞しく「生きて」いるんですね。

      そうでした、「失敗学」なるものもありましたよね(Serendipity Theory/Method っていうのかしらん?まさか!調べなくっちゃ!)
      ところせ、中国・大連での学会は延期になりました。ってこと位で、ガックリ!していてはいけませんね…。

      温かいお茶‐ゆず茶‐を楽しみながら、年末・年始&未来を計画するのもいいですね。

      追記:アップを14日から17日に正しました。少しずつスキルアップ中です。

  2. ピアのっこさん より:

    「セレンディピティ」心に響く言葉ですね。
    「失敗」は、自分への問いでもあると思います。

    ところで、この秋、コーヒー党の私も、なぜか 紅茶系が好きになってきました。今、飲んでいるのは、ティーバッグですが、「ハーブティ」です。心が、穏やかになるような気がします。

    紅茶に合う音楽って何かなー。
    そんなことを今、考えています。

    • シッポさん より:

      ピアのっこさん

      「紅茶系が好きになってきました」とのこと。
      それはシッポさんの陰謀…ではなくて、ピアのっこさんの気持ちに余裕が生まれたからだと思います。
      人の気持ちって不思議です。状況は変わらなくとも厳しくとも…、何かが変わって気持ちに変化が生まれます。

      「紅茶に合う音楽って何かなー」って、さすがです。うれしくなっちゃいました。
      宿題:「紅茶をイメージして曲を創りなさい。課題:四小節・余韻を残して」なんちゃって!

      日本で最初に「ポットで淹れる」紅茶を提供した専門店の名前が、「MUSICA」(ムシカ/神戸)。
      質の良い空間と時間を提供しています。

      内なる空間と時間が、ピアのっこさんに生まれたんだと思います。

  3. しゅんりんちゃん より:

    シッポさん、お久しぶりです。

    山中教授のノーベル賞受賞 「おめでとう」ですね。
    受賞会見は、とても自然に興味をもたせられるような
    新鮮な会見だったと思います。

    「日本人、やったあー」と思いました。
    「日の丸が…」とか「日本の国が…」の言葉ですね。
    そんなことをとても丁寧にたんたんとおっしゃった
    教授は好印象だったと思います。

    「セレンディピティ」失敗を成功に導く能力のことの
    ようですね。
    「失敗は成功の母」の言葉もおそらく類いですね。
    失敗の多い私。ちょっと大事にしなきゃいけませんね。

    3種類のお花、まずお花の配色が私好みですね。

    • シッポさん より:

      しゅんりんちゃん

      「失敗は成功の母」にしても「失敗学」にしても、
      もちろん、「セレンディピティ」にしても、
      人は多くの知恵とともに困難状況を次へのエネルギーにしてきたのですね。

      あの花を生けていたセレンディップの王子さまは、
      「They are talking about themselves.」とうれしそうでした。
      僕は花の気持ちに添っているんだよ、言いたかったのでしょう。

      石積みの職人は石が語ると、木彫りの職人は木が語りかけてくる…とは、よく聞くことばです。

      さて、紅茶は何を語りかけているのでしょうか?
      決して「紅でなくっ茶」と押し付けがましいことは言っていないはず。
      来年のこと、お互いにゆっくり考えたいものです…ね。

  4. しゅんりんちゃん より:

    言葉遊びのお上手なシッポさんですね。
    「紅でなくっ茶」…ニヤッとしてしまいました。
    どこからこんな「ことば」が出てくるんでしょう。
    何か秘訣が?

    来年のこと今から言うとオニが笑いそうですが、
    あと2か月なんですよね。
    ゆっくり考え始めましょう。

    「今」のことは、取りあえず進めそうです。
    ありがとうございました。
    「セレンディップ」が必要になるかもわかりませんが、
    止まっていることはできないですしね。

    「セレンデイップ」の王子様ステキですね。
    私もプランターの季節外れのピーマンに
    語りかけてみます。
    「よく頑張ってるね。寒いけどまだ頑張れる?」って。
    9月に大きなピーマンの中身の種を蒔いたら。
    芽が出てしまいました。
    今では実を3つ位つけています。
    かわいいヤツでしょ!?
    食べれる位になったら、シッポさんにおすそ分け
    しますね。

    • シッポさん より:

      しゅんりんちゃん

      「紅でなくっ茶」…、気に入って?くださってありがとうございます。
      私も気に入って!います。

      さて、ピーマンが、しかも調理のときに出たであろう「種を蒔いたら芽が出」たなんて素敵!「かわいいヤツ」の「おすそ分け」楽しみにしています。

      ところで、人生って「取りあえず進」むことの連続かもしれません。
      「セレンディップ」の王子様も、あれこれ生けてみては取りあえずこれで行こうってやっているんでしょうね、きっと。

      私たちもこれからもあれこれやってセレブならぬセレンディップに生きましょう。

  5. 紫陽花さん より:

    こんばんは。真夜中です。
    ここ数日、朝晩の寒さが厳しくなり、日中の陽射しの強さとのギャップが激しくなりました。風邪などひかれませんよう、お気をつけ下さい。

    さて、大連行きが中止になってしまわれたのですね。残念… しかし、学会だったのですね。私は、てっきりお茶の研究かと思い込んでました。

    今日、買い物にいったのですが、「秋映え」と「シナノスイート」が出てました。初めて見ました! これも「神様のカルテ」のおかげ?

    • シッポさん より:

      紫陽花さん

      林檎・りんご・リンゴとして掴んでいたものが、「秋映え」・「シナノスイート」と個別に分かるってなんだかうれしいですよね。

      お茶の研究!と思っていただけていたのなら、そのままにしておけばよかったなあ…(#^.^#)でも、お茶も研究レベルではありません、嗜好の範囲を出ていませんのでご了解を!
      素人ならではの強みを感得するに至り、最近は全てにおいてそうありたいと大切にしています。

      学会の件はどこかでホッとしている自分がいるかも…。でも、中国のヒステリックな反応はいかがなものかと思っています。

      お互い風邪など引かぬように、があんば!

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